『薔薇王』にシェイクスピアをさがして

菅野文先生の『薔薇王の葬列』についてシェイクスピア原案との関係を中心にひたすら語ります

第1部(1〜7巻)感想

舞台『薔薇王の葬列』(配信)感想

若月佑美さんリチャード、有馬爽人さんリチャード、両バージョンの感想です。

7巻30話 予言と呪いについて

『ロミオとジュリエット』的でもありながら『ヘンリー6世』にきっちり落とし込み、この2作以上に衝撃的で悲劇的です!

7巻29話 塔を訪れるリチャードについて

原案『ヘンリー6世』と全く違うとも言えますし、最終的には原案通りとも言えると思います。そして、やはりロミジュリっぽいですよね。

7巻28話 王子エドワードの願いについて

ランカスターの王子エドワードの退場回。『ヘンリー6世』準拠ながら、エドワードのリチャードへの恋の終わりと絡めて美しく翻案されています。無理筋かもしれませんが、『二人の貴公子』オマージュも考えました。

7巻27話テュークスベリーの戦いについて

27話は、多分詳細に史料準拠で、史料アレンジの面白さに気づかされこのタイトルにしました。

7巻26話赤薔薇と白薔薇について

26話表紙は赤い薔薇に埋まったリチャードで7巻の表紙は白地にマーガレット。色としては逆ですが、2人のことや薔薇のことを書きました。

6巻25話戦場の遭遇と光について

クライマックスで話の盛り上がりも素晴らしく、『ヘンリー6世』の変換の仕方も感動的です。

6巻24話 キングメイカー・ウォリックについて

盛り上がる展開です。『ヘンリー6世』は23話から25話に飛ぶ形ですが、史料が素晴らしくアレンジされている回ですね。

6巻23話木陰の眠りと父の野望(のぞみ)について

『ヘンリー6世』踏襲で、エドワードとウォリックの対立、父の敵討ちでヘンリーを殺そうとするリチャード、という愛憎を強調する展開に思えます。

6巻22話戦いと王位を倦むヘンリーについて

ヘンリーの台詞やジョージのエピソードに『ヘンリー6世』の演出的采配を感じます。セクシュアルな話への踏み込み方もすごい回です。

6巻21話リチャードとヘンリーの約束について

2人の約束が、切ないままになった『十二夜』+ピラマスとシスビーの感じです。21話の主題歌は“O Mistress Mine”ということで。

5巻20話「天使」と「愛」について

『ハムレット』、ピラマスとシスビー、『十二夜』あたりでしょうか、様々なオマージュやエピソードでぐらんぐらんさせられます。

5巻19話リチャードへの愛を競う王子エドワードとアンについて:『十二夜』

イラスト集『荊棘の棺』って、もしかしたら「杉の柩」と掛けられているのかな、なんて話もしました。

5巻18話城からの脱出とバッキンガムの出迎えについて

リチャードの王冠への思いについて、バッキンガムとケイツビーが対照的な関係ですね。そして、ひょっとして『ジョン王』オマージュ??

4巻16話誰が玉座に相応しいか、という問いについて

ジョージが王に名乗りを上げたことで、リチャードが王冠への思いに揺れます。そして、ケイツビーの騎士ぶり。

4巻15話リチャードとアンの行き違いと別離について

『ハムレット』語りが多くなっていますが、アナ雪かも。でも、一番重要なのは夢の場面が12巻と重なる展開・構図であることですね。

4巻14話アンの愛情と沈黙について

『ヘンリー6世』の上に『ハムレット』と『リア王』か?と想像。扉絵のアンがオフィーリアのようです。

4巻13話父の敵討ちと王を殺すことについて:『ハムレット』

話の展開と「王を殺してはいけませんか」の台詞は、『ヘンリー6世』と『ハムレット』がミックスされた印象です。

3巻12話王冠と愛とキングメイカーについて

キングメイカー・ウォリックがエドワード王と決裂した後、新たなキングメイカーに名乗りを上げるバッキンガム登場!

3巻11話苺をめぐるエピソードについて

ヘンリーとの苺エピソードの回です。原案=11巻の苺エピソードと比較して、そこまでの変遷を追ってみました。王子エドワードの話への関わり方もとても面白い展開になっています。

3巻10話ヘンリーの帰る場所について

ヘンリーの帰る場所について『ヘンリー6世』の台詞が変換され、エドワード王の結婚と重ねて描かれ、ヘンリー=“王冠より愛”ルートが示されているかのようです。

3巻9話それぞれの獲物について

エドワード王とエリザベスの密会=“狩り”と並行して、それぞれ何らかの獲物を追うような展開ですね。

2巻8話踊りの宴とエリザベスの登場について

宴の場面では『リチャード3世』冒頭の独白が使われていますが、初登場のエリザベスは一寸シンデレラみもある気が……。

2巻7話血と薔薇について

『ヘンリー6世』では、リチャード、兄エドワード、ウォリック伯たちが共に弔い合戦にをするのに対し、7話は、エドワードとウォリックの表の戦争と、その裏でのリチャードによる戦場での殺戮が同時進行で展開します。

2巻6話ヨークへ向かう道について

『ヘンリー6世』ではエドワードとリチャード2人でヨーク公の心配を語り合えるのに、それに比べると、リチャードが独りで過酷な旅をするのか、と健気さが倍増します。

2巻5話ヨーク公の死について

『ヘンリー6世』の、戦闘に巻き込まれた親子の話をリチャードの物語にしているように思います。推測ながら、原案の素晴らしい使い方だな、と。

5巻17話 祝!読者投票1位全話公開記念 リチャードを着飾らせる王子エドワードについて

読者投票1位の17話が宣伝アカウント(twitter)@baraou_infoで全話公開になったので、お祭りに乗れればと書きました。シェイクスピア・オマージュについて、一寸強引ながら考えてみました。

1巻4話リチャードとヨーク公の繋がりについて

4話では、原案『ヘンリー6世』のヨーク公の台詞を下敷きにしつつ、ヨーク公の凱旋と、再びの戦闘での敗北とが描かれます。『薔薇』では、リチャードがヨーク公と一緒に戦うことはない代わりに、2人の繋がりが夢や精神的呼応の形で出てきます。

1巻3話ヘンリーの祈りについて

リチャードとヘンリーの再会の場は、『ヘンリー6世』からの台詞の配置がすごいことになっています。マーガレットの小箱と王子エドワードについても少し。

1巻2話リチャードとヘンリーの出会いについて

王位にいるヘンリーが羊飼いに憧れ、リチャードは王位が幸せをもたらしてくれると信じている。菅野先生はヘンリーとリチャードがHⅥで対照的に書かれていると思ったのでそう描きたかったというようなことをおっしゃっていましたが、HⅥの全く別箇所の2人の台詞…