『薔薇王』にシェイクスピアをさがして

菅野文先生の『薔薇王の葬列』についてシェイクスピア原案との関係を中心にひたすら語ります

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

9巻37話「誰とも似ていない」リチャードについて

「同じ」と「違う」は『薔薇王』でしばしば出てくる表現ですが、37話ではこれが強調されます。ここから「俺は誰とも似ていない」という台詞につながり、この台詞が元の『ヘンリー6世』でのジョージ暗殺の文脈通りに使われています。

9巻36話 ジョージ「主役」の芝居について

リチャードの目的はもはや呪いの犯人の究明ではなくジョージの逮捕になっているので、ジョージが呪いに加担するように仕向け一芝居打つことになります。36話でも、ジョージの逮捕まで『リチャード3世』と『ヘンリー6世』第2部が巧みにミックスされて話が進…

8巻35話暗殺の道程と暗殺者たちについて

(薔薇王の葬列アニメ13話対応) ジョージの逮捕と暗殺をめぐる話は9巻半ばまで続いていきますが、35話は、この件へのリチャードの関わりを、『リチャード3世』(以下、RⅢ)と史実(史料)との間に見事に落とし込んでいるように思います。『ヘンリー6世』(…

8巻34話呪いと代償について

『ヘンリー6世』にこれとよく似た箇所があり、てっきりこれが使われたのだと思っていましたが、ジョージの逮捕の経緯については史実にも近かったらしく、絶妙なミックスが施されているようです。

8巻33話 楽園の喪失について

1巻1話に出てきた「あの環の中には楽園がある」という台詞と関連づけられ、シェイクスピア作品というよりミルトン『失楽園』や、絵画の楽園追放を彷彿とさせる描写になっているような気がします。