外伝感想
本編1巻につながる円環的終幕が見事! 加えて原案サフォークの独白の転用(多分)によって、表面的に原案通り、でも内実は史実寄り、更に騎士ロマンス的にもなるという作り。前巻から続く『オセロー』も?
『ヘンリー6世』展開でありつつ、前半は『マクベス』オマージュ、後半は史料ミックスで、更に劇的に。
『ヘンリー6世』準拠のようで、緩急のつけ方や演出面の見事さが際立っています。『ハムレット』と『オセロー』の合わせ技的オマージュの感じも。
『薔薇王』本編の円環的構成を、更に環を大きく一回りさせたような最終巻でした。
感想少し、ローズプディングとリチャード3世の食卓レシピのリンク。
『薔薇王』本編を覆すような展開。『ハムレット』から『オセロー』や『から騒ぎ』的な感じも……。
今話は『ヘンリー6世』というより、以前リンクした記事のエピソードが中心になっている気がします。
エレノアの呪いは失敗したはずなのにという皮肉。原案からの変更、史料の取り入れ、『薔薇』本編の裏事情的描写が組み合わさった、いつもながらの凄い展開でした。
『ヘンリー6世』からの変更がとても演出的に思えます。そこから改めて原案の台詞を考えさせられました。
グロスター夫妻を罠にかける原案踏襲の話ですが、マーガレットの危機と果敢な行動にサフォークの気持ちが揺さぶられる展開にもなっています。
『ヘンリー6世』がヘンリーの逃亡エピソード0的な話にされています。それに関与したのが実はマーガレットというのも胸熱。様々に話が重ねられていそうです。
前半は特に騎士道ロマンス的雰囲気を感じます。『ヘンリー6世』の演出的な読替えがやはり素晴らしいと思います。
王妃マーガレットが主役の前日譚。『ヘンリー6世』の人物像を逆転させた歴史ドラマ的雰囲気です。