『薔薇王』にシェイクスピアをさがして

菅野文先生の『薔薇王の葬列』についてシェイクスピア原案との関係を中心にひたすら語ります

第2部・11巻〜感想

17巻最終話(78話) 王冠と愛について

『リチャード3世』と全く違うようでありつつ、すばらしく斬新な解釈・演出として読みたいと思う最終話でした。

17巻77話 ケイツビーの願いについて

ケイツビーに焦点が当たります。『リチャード3世』の解釈・変換も素晴らしく、ベスのエピソードにも参りました。

17巻76話 “光”と“荊棘”について:リチャードとヘンリー

最終話に向けて主題がストレートに出され、円環的な物語が作られているクライマックスの感があります。ついでに、相当無理矢理感ありつつ『冬物語』どうでしょう、と言ってみます……。

17巻75話 リチャードの呪いについて

1話から出てきた『ヘンリー6世』での呪いの言葉が、『リチャード3世』での母の呪いと繋げて最終部で円環的に使われ、違う形で昇華される素晴らしさ。テイスト的にはシェイクスピア晩年作品に近づいている気もします。

16巻74話 2つの薔薇について

過去の伏線の回収とオリジナル要素が、リッチモンドの政略と対比的に描かれる素晴らしさ。細かい要素にも泣き所がいっぱいです。

16巻73話 アンの荊棘について

アンの話を『リチャード3世』4幕1場との関連で考えてみました。リッチモンドや小夜啼鳥についても書いています。

16巻72話 冬の気配について

気持ちを揺さぶる展開なのにやはり構成もすごい。『リチャード2世』推測してみました。王の森の場面と、73話以降のリチャードvs.リッチモンドの話と繋がっている……かもしれません。

16巻71話 バッキンガムの望みについて

バッキンガムの選択を、彼が生きることを選んだものとして描かれているのが印象的です。

16巻70話 熱を奪う雨について

『リチャード3世』での「熱い気性が凍ったか」が、雨による敗走エピソードと掛けられて、リチャードが求めた“バッキンガムの熱”を失う話になっている気がします。

15巻69話 森で待つバッキンガムについて

様々なオマージュやこれまでの話が重層的に紡がれ、リチャードの変化や決断の物語になっていくことが感動的です。

15巻68話 リチャードの迷いと選択について

『ハムレット』『ヘンリー4世』などが組み合わせて使われ、作品のモチーフとリチャードの変化が重なるのも感動的です。

15巻67話 ヘンリーと“贄”について

王子達を巡る話の作りがまたもや神業的です。ティレルの言動はまだ謎かけ的ですね。

15巻66話 リチャードの帰還について

心削られる展開かと覚悟していましたが、15巻は、こう来るか!のわくわく感や、物語が動いていく興奮があって一気に読みました。

14巻65話愛と荊棘について

原案や史料の流れに戻してきたような65話。指輪エピソードや、プロセルピナと『冬物語』、『ヘンリー4世』とかを考えてみました。

14巻64話夢から醒める薬について

11,12巻の挿話が布石のような形で、薬の話が不吉に再登場。62話からのモチーフも繋がっているかもしれません。

14巻63話王子達をめぐる思惑について

表紙の2人をめぐる史料とも絡めた展開なのに、リチャード、バッキンガム、ティレルの三角関係(?)も入った素晴らしさと構成の美しさ。でもリッチモンドの考察が長めになりました。

14巻62話父と子について

1巻のリフレインのようなリチャードとエドワードが感動的で、リッチモンドとスタンリーは『リチャード3世』の真逆の感じですね。

14巻61話 愛を求める“ヘンリー”について

既に不穏になり始めている61話。3巻との比較がメインになりました。

13巻60話「誓約」の転回について

クライマックスの60話!『恋の骨折り損』、『ヴェニスの商人』、最後に『リチャード3世』と長々書いてしまいました。

13巻59話仮装したリチャードとバッキンガムについて

59話からはリチャードとバッキンガムの関係(+アンとの三角関係)が中心になりますね。『ヴェニスの商人』との関連をメインに書きました。

13巻58話リチャードの楽園について

本当は怖い『恋の骨折り損』と『ヴェニスの商人』みたいな記事になっちゃいましたが、凄い組み立てになっている気がします。

13巻57話“ルシフェル”の登場について

今話も、光と闇、神・天使・悪魔が交錯するように話が進みます。メインのモチーフは聖書や『失楽園』?

13巻56話リチャードの戴冠について

玉座とリチャードをめぐる、光と闇、神々しさと禍々しさが交互に入れ替わる展開と「予言」の使い方の素晴らしさ!

12巻55話夢の結末について

『夏の夜の夢』と『タイタス』をきれいに決着させ、史料的にもリアリティのある結末。神業を堪能する、狩りのエピソードの終了でした。

12巻54話ヘンリーの夢について

54話は12巻のクライマックスと言えるかもしれません。今話でも、『夏の夜の夢』の重ね方が凄い!と思います。幸福な結末もある一方、ダークな解釈も使われている気がします。

12巻53話狂乱の森での愛と陰謀について

『夏の夜の夢』と『タイタス』との重ね方が凄いです。リチャードは、アンとの関係ではオーベロン、ヘンリーとの関係ではタイテーニア、という感じでしょうか。

12巻52話取り替え子をめぐる諍いについて

冒頭のリチャードの夢は、『夏の夜の夢』悪夢バージョンのような感じで、これに続く話のプロローグのようです。「取り替え子」のモチーフが、リチャード→リチャードの息子のエドワード→エドワード4世→バッキンガム、と展開されている気がします。

12巻51話狩りの計画について

ヘイスティングスの処刑後、12巻では王子たち(新王と王弟)との対決になっていきます。彼らについては、これまで、残念な子だの、タモーラのダメ息子たちのようだのと書いてきましたが、いやいや、リチャードとバッキンガムが警戒するような十分(悪)賢い…

11巻50話ヘイスティングスの粛清について

『リチャード3世』を変えて、リチャードとヘイスティングスが互いに相手を追い落とすことを目論んでいるので、非常に緊張感があります。その拮抗関係がうまく構成されているように思います。

11巻49話母セシリーとの会食と『リチャード3世』のなぞの台詞について

せっかく表紙帯の「私にとって人生とはリチャード様なのです」の回なのに、母セシリーとの会食についてって、すごい地味なんですけど。やっぱり話のメインはセシリーとの関係ですよね。つい記事のタイトル盛っちゃいました、すみません……。