『薔薇王』にシェイクスピアをさがして

菅野文先生の『薔薇王の葬列』についてシェイクスピア原案との関係を中心にひたすら語ります

2019-01-01から1年間の記事一覧

8巻35話暗殺の道程と暗殺者たちについて

(薔薇王の葬列アニメ13話対応) ジョージの逮捕と暗殺をめぐる話は9巻半ばまで続いていきますが、35話は、この件へのリチャードの関わりを、『リチャード3世』(以下、RⅢ)と史実(史料)との間に見事に落とし込んでいるように思います。『ヘンリー6世』(…

8巻34話呪いと代償について

『ヘンリー6世』にこれとよく似た箇所があり、てっきりこれが使われたのだと思っていましたが、ジョージの逮捕の経緯については史実にも近かったらしく、絶妙なミックスが施されているようです。

8巻33話 楽園の喪失について

1巻1話に出てきた「あの環の中には楽園がある」という台詞と関連づけられ、シェイクスピア作品というよりミルトン『失楽園』や、絵画の楽園追放を彷彿とさせる描写になっているような気がします。

8巻32話夏の祝宴について

第2部の実質的な幕開けということでしょうか、『リチャード3世』冒頭の独白数行の内容が、第2部の登場人物を揃える形で描かれています。

8巻31話アンへの求婚について

31話は、アンとの結婚について、史実解釈、『リチャード3世』の有名場面、第1部のリチャードとヘンリーの関係、全てが矛盾なく話の中に入っています。しかも元の台詞を異なる意味にして、リチャードの真実と嘘を語るものになっているという素晴らしい作りで…

11巻50話ヘイスティングスの粛清について

『リチャード3世』を変えて、リチャードとヘイスティングスが互いに相手を追い落とすことを目論んでいるので、非常に緊張感があります。その拮抗関係がうまく構成されているように思います。

11巻49話母セシリーとの会食と『リチャード3世』のなぞの台詞について

せっかく表紙帯の「私にとって人生とはリチャード様なのです」の回なのに、母セシリーとの会食についてって、すごい地味なんですけど。やっぱり話のメインはセシリーとの関係ですよね。つい記事のタイトル盛っちゃいました、すみません……。

11巻48話騎馬のリチャードが運命に挑んだ!ことについて

「勝負の相手は“神”、賭けるものは“魂”」と言って馬上で運命に挑むリチャード。原案『リチャード3世』を反転させたかのような展開が胸熱です。

11巻47話ケイツビーの忠誠について

11巻47話についてです。タイトルは苺についてでもよかったかもしれません。リチャードに忠誠を誓ったケイツビーが、ハムレットのホレーシオに似ている、と勝手なことを書きました。

11巻46話リチャードとバッキンガムの謀議 と マーガレットの退場(?) について

46話のリチャードとバッキンガムの謀議の場面で、原案『リチャード3世』と台詞が逆転していることについて、邪な(?)目線から考えます。

1巻4話リチャードとヨーク公の繋がりについて

4話では、原案『ヘンリー6世』のヨーク公の台詞を下敷きにしつつ、ヨーク公の凱旋と、再びの戦闘での敗北とが描かれます。『薔薇』では、リチャードがヨーク公と一緒に戦うことはない代わりに、2人の繋がりが夢や精神的呼応の形で出てきます。

1巻3話ヘンリーの祈りについて

リチャードとヘンリーの再会の場は、『ヘンリー6世』からの台詞の配置がすごいことになっています。マーガレットの小箱と王子エドワードについても少し。

1巻2話リチャードとヘンリーの出会いについて

王位にいるヘンリーが羊飼いに憧れ、リチャードは王位が幸せをもたらしてくれると信じている。菅野先生はヘンリーとリチャードがHⅥで対照的に書かれていると思ったのでそう描きたかったというようなことをおっしゃっていましたが、HⅥの全く別箇所の2人の台詞…

1巻1話(2)馬と王冠について:まだ1話なのに?

ミス・リーディングなタイトルですみません。でも本当に馬のことなので……。

1巻1話(1) 荊棘の森と光について:初回から神展開です、と言いたい

何がすごいって、『ヘンリー6世』のほぼ“最後箇所の”台詞が使われていることです。この言葉がはじめに置かれることでリチャードを縛り続ける呪いや予言のように働いてきます。

ごあいさつ このブログについて

(2022.2月改稿) 菅野文先生の『薔薇王の葬列』にはまり、原案『ヘンリー6世』『リチャード3世』の換骨奪胎の素晴らしさと、それ以外のシェイクスピア作品オマージュについて妄想・牽強付会込みで語るために立ち上げました。作品も完結し、このブログも全話…