『薔薇王』にシェイクスピアをさがして

菅野文先生の『薔薇王の葬列』についてシェイクスピア原案との関係を中心にひたすら語ります

薔薇王キャラによるシェイクスピア他作品配役妄想

菅野先生の「このメンバーでまた違うシェイクスピアの漫画をやってみたら楽しいかもしれないな」のツイートに刺激され、リプまでしたというのに、配役妄想が止まらなくなり記事にしてしまいました。よろしければおつきあい下さい。

 

 

baraoushakes.hatenablog.com

↑こちらの記事と少し重なるところはあるのですが、拡大版というか、対応作品に入っていないもの含めて。

 

十二夜

まずは菅野先生も推奨していた『十二夜』から。

 

 

上リンク記事で私も「個人的には「薔薇王の葬列」版の『十二夜』いいなと思うんですよね。」と書いていました(←自画自賛)。そもそも『薔薇王』内のオマージュで登場人物と重ねられている気がするので、そこに倣う箇所は(※)の印を入れておきます。『十二夜』はサクサク配役妄想が進みます。

 

十二夜              薔薇王

ヴァイオラ&セバスチャン:リチャード(※) 現実にも1人2役ありますしね!

オーシーノー:ヘンリー(※)

オリヴィア:アン(※)

アントーニオ:ケイツビー(※)

サー・トービー:ジョージ

マライア:イザベル

サー・アンドルー:ランカスターのエドワード 

道化フェステ:リッチモンド

フェービアン:フォレストかダウトン

マルヴォーリオ:(大人)バッキンガム

 

第1部で重ねられていたこともあり、メインキャストの年齢的にも第1部の感じかと思いますが、バッキンガムについては第2部の年齢想定です。というより何より、ごめんなさい、マルヴォーリオについてのブーイングは覚悟しています。マルヴォーリオはイーリー司教あたりが安全牌でしょうが、バッキンガムとかウォリックの方が絶対面白いと思うんです。オリヴィアがアンだと、ウォリックでは親子みが強くなってしまうのでバッキンガムということで。「みなさん、気でも狂われたか?」と蔑むように言った彼が、ラブレター(実は偽物)の要望通りの黄色い靴下を履いて微笑むんですよ。そのインパクトを考えて!

 

『薔薇』では多分ランカスターのエドワードもオーシーノーと重ねられていたと思いますが、私のイメージはこちらです、これもファンの方すみません。

 

道化フェステは芸達者で頭がいいキャラなので、ここでは『ファンブック』の気のよさそうなリッチモンドの方で。道化フェステについては、こちらがフォレストでもいいかもしれませんし、最近の演出っぽく女性役にしてジェーンもありじゃないかと思います。

 

 

ジュリアス・シーザー

菅野先生に思わずリプしてしまったキャスト。以前、フォロイーの方にもリプで図々しく語らせていただいたことがありました。『ジュリアス・シーザー』は多分『薔薇王』で使われていない気がしますが、とてもキャラがはまる作品だと思っていました。ツイートで省略した脇役を少し加えています。

 

J.C.                    薔薇王

ブルータス:リチャード

キャシアス:バッキンガム

アントニーリッチモンド

シーザー:エドワード4世(兄上)

ポーシャ(ブルータスの妻):アン

キャルパーニア(シーザーの妻):エリザベス

オクテーヴィアス:エドワード5世

占い師:ジェーン/ジャンヌ

シナ:ノーサンバランド伯

シセロー:ヘンリー

ルーシャス(ブルータスの従者):(息子)エドワード/ケイツビー

 

占い師はジェーンとジャンヌで迷います。ニコラス・ハイトナー演出版でディーシャスがイケてる女性になっていて、ジェーンはその設定でのディーシャスも捨てがたいです。

 

ルーシャスは、原作では多分若年でブルータスが彼の保護者的な感じもするので息子のエドワードのイメージです。ですが、ハイトナー版の他、ブルータスの自死を助けるストレートーとルーシャスをまとめた一役にしているものを観まして、まとめた一役ならケイツビーがいいなと思います。ハイトナー版ではルーシャスの方がブルータスより年上の感じでした。

 

Image by Pexels from Pixabay

ハムレット』のダブル・キャスト

ハムレット』のメインキャストについては、妄想でなく、ほぼ『薔薇王』内オマージュのままと言っても過言ではありません。引き続き(※)をつけます。しかもハムレットエドワード4世王やジョージも含む複数のキャラと重ねられていると思いますが、やはりリチャードとヘンリーのダブル・キャスト白薔薇プロと赤薔薇プロ)を考えてみます。

 

白薔薇プロ

ハムレット   薔薇王

ハムレット:リチャード(※)

クローディアス:ヘンリー(※)

父王の亡霊:ヨーク公(※)

ガートルード:セシリー(※)

オフィーリア:アン(※)

ポローニアス:ウォリック(※)

ホレーシオ:ケイツビー(※)

フォーティンブラス:バッキンガム(※か微妙)

レアティーズ:ランカスターのエドワード

 

メインキャストはほぼ※です。クローディアス=ヘンリーは薔薇王内では重ねられていても無理があるんじゃないかと言わるかもしれません。薔薇王では他にエドワード4世王、ウォリックがクローディアスと重ねられていると思います。クローディアスに一番はまりそうで一番重ねられているのはウォリックでしょうし、ヘンリーは父の敵の点で重ねられているだけとも言えます。でもこのキャストにもなるなと気づいた時、すごくいい配役だ、菅野先生さすがの采配と思いました。クローディアスが先王殺害を告白する場面があるにもかかわらず、彼が本当に殺害したのかわからないような演出も観たりします(つまりハムレットの妄想か、亡霊が惑わしている)。そこまで行かなくとも先王殺害は出来心のような柔らかい雰囲気のクローディアスもあります。これは斬新なクローディアスになるんじゃないかと本気で思います。

 

薔薇王でフォーティンブラス=バッキンガムが重ねられている気がするのは私の思い込みかもしれません。ローゼンクランツとギルデンスターンがいないと味気ないようなら、第2部年齢でのグレイとドーセットでどうでしょうか。最近は男女カップルのローゼンクランツとギルデンスターンの方をむしろよく見るくらいなので、ジョージとイザベルでも。(可哀想かなー、でも薔薇王でも可哀想な2人ですし。)

 

赤薔薇プロ

ハムレット   薔薇王

ハムレット:ヘンリー(※)

クローディアス:外伝グロスター公?

父王の亡霊:なし(声のみ)

ガートルード:前王妃キャサリン(※)

オフィーリア&ホレーシオ:リチャード(※)

ポローニアス:ウォリック

フォーティンブラス:なし(カット)

レアティーズ:ケイツビー

 

ダブル・キャストと言いながら、こちらは若干苦しいですかね。ヘンリーの方は、母親と女性の主題で『ハムレット』と重ねられているので、男性陣はどうでもいいような配役というか、※以外は説得力がないというか。ポローニアスはウォリックにそのまま残ってもらい、クローディアスについては、悪役感や、実質王権掌握して采配していることや「叔父」ということで外伝グロスター公にしてみました。父王亡霊が声だけとか、フォーティンブラスが出てこない演出もあったので、こちらはそれでいいんじゃないかと思います。

 

オフィーリアとホレーシオは、薔薇王内で多分それぞれリチャードに重ねられていると思うんです。女性を遠ざけ、男性の友人に心を開くあり方も薔薇ヘンリー的。しかも現実的にも十分2役ができる気がします。この1人2役は観たことも聞いたこともないですが、やってもいいんじゃないかと思えてきます。『十二夜』の双子の1人2役より、出番的には無理がないはずです。

 

難しい『リア王』(未完)

リア王』のエドマンドを、リチャードとバッキンガムでWキャストにしたかったんですが、肝心のリア王も、エドマンドの父のグロスター伯も、合うキャラがなかなか思い浮かばず、リチャードプロの方は挫折/未完です。

Rプロ

リア王    薔薇王

リア王:??

エドマンド:リチャード

エドガー:ヘンリー

グロスター伯(エドマンド達の父):??

コーディーリア:アン(※かも)

ゴネリル:エリザベス

オールバニ公(ゴネリルの夫):ヘイスティングス

リーガン:イザベル

コーンウォール公(リーガンの夫):ジョージ

フランス王:ランカスターのエドワード

バーガンディ公:バッキンガム

ケント伯:ケイツビー

道化:ジャンヌ

 

リチャードのエドマンドには、(エドワード兄上ではなく)ヘンリーのエドガーを推したいです。ヘンリーはエドガーに合うような気がしますし。ですが、リア王グロスター伯には、ヨーク公はどうしても合わない気がして、うまくはまる人が見つかりません。これを考える過程で、リア王グロスター伯はなかなか複雑なキャラだなと気づきました。

 

アンは元々コーディーリアみがあり、イザベルも姉娘、しかもどちらかといえばリーガンが合う気がします。ということでこちらはイザベル・ジョージの2人。ゴネリルを薔薇では義姉のエリザベスにしてみましたが、夫のオールバニ公はエドワード兄上のキャラに合わない気がして、性格的にヘイスティングスあたりかなと思いました。ニッチなところながら、コーディリアに求婚し、遺産をもらえなくても妻にするフランス王にエドワードははまるんじゃないかと思っています。

 

Bプロ

リア王:外伝グロスター公ハンフリー

エドマンド:バッキンガム

エドガー:ケイツビー

グロスター伯:外伝バッキンガム公

コーディーリア:リチャード

ゴネリル:マーガレット

オールバニ公(ゴネリルの夫):ヘンリー 

リーガン:エリザベス

コーンウォール公(リーガンの夫):エドワード4世

フランス王:ハワード/13巻のアン(男性設定)

バーガンディ公:ノーサンバランド伯

ケント伯:外伝サフォーク

道化:フォレスト

 

バッキンガムプロの方が行ける気がしてきました。ゴネリル=マーガレットにしたら、リア王=外伝グロスター公がいい感じに思えます。オールバニコーンウォールもこちらの方がはまるかもしれません。ただ、これだとリア王コーディーリアが元から仲良くなさそうなのが難ですね。コーディーリア=リチャードは、ドレスでも男装でもいいと思います。配役は変わりますが、黒澤明『乱』的に男性三兄弟でエドワード兄上、ジョージ、にするのもありかも。フランス王=ハワードは、ノーサンバランドとの対比で冗談みたいなものです。ランカスターのエドワードにすると、リチャードのコーディーリアは素直にフランスに行く展開が想像できず……。フランス王は13巻の男装アンを男性設定にしてもいい気がします。

 

外伝バッキンガム公は完全に容貌だけの理由です。父親似設定ということで(薔薇王というか、歴史人物上では祖父ですが)。バッキンガムと対立・対決するのはなんとなくケイツビーの感じがあり、人柄的にもエドガー=ケイツビーはありかなと思いました。2人とも実はコーディーリアを愛していたという裏設定があってもいいかもしれません。

 

ケントについては、私は夢を見すぎていますね。こちらがハワードでもいいかもしれませんし、リチャードのコーディーリアの方でケント=ケイツビーの方が合うとは思います。リア王の道化はジャンヌのイメージなのですが、外伝グロスター公とは折り合いが悪そうだなと思ってフォレストにしてみました。