『薔薇王』にシェイクスピアをさがして

菅野文先生の『薔薇王の葬列』についてシェイクスピア原案との関係を中心にひたすら語ります

『薔薇王の葬列』アニメ・原作漫画の巻話対照表

『薔薇王の葬列』アニメと漫画各話を対照にしてブログの記事をリンクしています。クリックで原作漫画の感想記事に飛びます。

 

以下、第1クールから一覧にしていますが、下の画像をクリックしてもらうと、第2クール分にスキップできます。

 

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第1クール

アニメ第1話  漫画1巻1話〜4話途中まで

1巻感想1話(1) 荊棘の森と光について

1巻1話感想(2)馬と王冠について:まだ1話なのに?

1巻2話リチャードとヘンリーの出会いについて

1巻3話ヘンリーの祈りについて

 

アニメ第2回  漫画1巻4話〜2巻6話

1巻4話リチャードとヨーク公の繋がりについて

2巻5話ヨーク公の死について

2巻6話ヨークへ向かう道について

 

アニメ第3話  漫画2巻7話〜3巻9話

2巻7話血と薔薇について

2巻8話踊りの宴とエリザベスの登場について

3巻9話それぞれの獲物について

 

アニメ第4話  漫画3巻9話〜3巻11話

3巻10話ヘンリーの帰る場所について

3巻11話苺をめぐるエピソードについて

 

アニメ第5話  漫画3巻12話〜4巻15話途中まで

3巻12話王冠と愛とキングメイカーについて

4巻13話父の敵討ちと王を殺すことについて:『ハムレット』

4巻14話アンの愛情と沈黙について

 

アニメ第6話  漫画4巻15話〜4巻16話

4巻15話リチャードとアンの行き違いと別離について

4巻16話誰が玉座に相応しいか、という問いについて

 

アニメ第7話  漫画5巻17話〜5巻19話途中まで

5巻17話 リチャードを着飾らせる王子エドワードについて

5巻18話 城からの脱出とバッキンガムの出迎えについて

 

アニメ第8話  漫画5巻19話〜5巻20話

5巻19話リチャードへの愛を競う王子エドワードとアンについて:『十二夜』

5巻20話「天使」と「愛」について

 

アニメ第9話  漫画6巻21話〜6巻23話途中まで

6巻21話リチャードとヘンリーの約束について

6巻22話戦いと王位を倦むヘンリーについて

 

アニメ第10話  漫画6巻23話〜6巻25話

6巻23話木陰の眠りと父の野望について

6巻24話キングメイカー・ウォリックについて

6巻25話戦場の遭遇と光について

25話での遭遇場面、アニメでは控えられていましたが、漫画ではかなり血塗れになっており、それが26話の表紙の赤い薔薇に埋まっているリチャードと重ねられている気がします。

 

アニメ第11話  漫画7巻26話〜7巻28話

7巻26話赤薔薇と白薔薇について

7巻27話テュークスベリーの戦いについて

7巻28話王子エドワードの願いについて

 

アニメ第12話(第1クール終了回)  漫画7巻29話〜8巻31話  

7巻29話塔を訪れるリチャードについて

7巻30話予言と呪いについて

8巻31話アンへの求婚について

 

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第2クール

アニメ第13話  漫画8巻32話〜8巻35話

8巻32話夏の祝宴について

8巻33話楽園の喪失につい

8巻34話呪いと代償について

8巻35話暗殺の道程と暗殺者たちについて

原作漫画の32話でジャンヌが出てくる芝居の箇所で早くも「役者」登場ですね! また、アニメではジェーンが呪いに直接関わっていて、『リチャード3世』のリチャードに近くなっていました。漫画の方ではジェーンの立ち位置はもう少し複雑になっていて、それぞれの立場で疑心暗鬼を生んだりそれを上手く利用する様子が描写されています。

 

アニメ第14話  漫画9巻37話〜9巻39話

9巻37話「誰とも似ていない」リチャードについて

9巻38話ジョージ暗殺について

9巻39話王家に捧げるものについて

(カット部分)

9巻36話ジョージ「主役」の芝居について

いや、ジョージ回だと思いましたし、そこはよかったんですよ! ですが、9巻36話は省かれていました。原案『リチャード3世』に近づけた省略にも思える一方、9巻37話の『ヘンリー4世』っぽいオリジナル部分や38話の『ヘンリー6世』(第2部)的裁判部分はしっかりありますね。ティレルの出番が少なめで、バッキンガムは減らされていない印象……。そして、実は私はフォレストとダウトンの登場回と期待していて、彼らが出てこなかったことに地味にショックを受けた、という多分レアな感想です。確認したら公式サイトのキャラクターにいないんですが、それは彼らがあまりに脇キャラだからだと思いたい!

 

アニメ第15話  漫画10巻42話〜10巻45話

10巻42話王位継承の攻防について

10巻43話リチャードとバッキンガムの「誓約」について

10巻44話リチャードとウッドヴィルの対決について

10巻45話リチャードの摂政就任 と エリザベスとジェーンの共謀 について

(カット部分)

9巻40話リチャードの嘘と真実について

10巻41話闘う王としてのリチャードと『ヘンリー5世』オマージュについて

今回だけで10巻全部だったのは予想外……。第2部は12回の尺で10巻分もあるからカットは仕方ありませんし、『リチャード3世』に沿った省略だとは思います。ただ……苦悩と闘いの王冠に関わる箇所のカットはやはり残念で、後半に効いてくる部分のはずなのでそこが軽くなってしまう心配も。『リチャード2世』『ヘンリー4世』『ヘンリー5世』が入っていそうな話だし、漫画読んで〜と言いたくなります。あと、今回もバッキンガムのシーンは割とそのまま、ティレルが少なめかも。『薔薇王』は無駄がなく緊密に内容が絡んでいるので短くまとめるのは難しいですよね。私も含めてそれぞれ思い入れがあるので、ここは残して欲しかったという感想がどこかからは来ますもんね。エドワード5世をリチャードが背に乗せて馬から降ろすところは尺を取らないはずなので、あったらよかったな〜と思いました。ニュアンスが取りにくいから敢えて普通の下馬にしたんでしょうか。

 

アニメ第16話  漫画11巻46話〜11巻50話

11巻46話リチャードとバッキンガムの謀議 と マーガレットの退場(?) について

11巻47話ケイツビーの忠誠について

11巻48話騎馬のリチャードが運命に挑んだ!ことについて

11巻49話感想母セシリーとの会食と『リチャード3世』のなぞの台詞について

11巻50話ヘイスティングスの粛正について

今回も進行が早く11巻最後まで行きました。回全体のカットはないもののカット部分はそれなりに多く、やはり『リチャード3世』に戻しているというか、『リチャード3世』と史実に近い部分を残している感じがします。セシリーの場面などは舞台っぽい印象になり、久川綾さんがよかったです。ケイツビーの心情描写は短かめでもこれまでのアニメの流れでわかる形になっており、ケイツビー回になっている気はしました(漫画を先に読んで補完しているせいもあるかもしれません)。ただ……、ただですね、逆に言うとカットされているのが『薔薇王』オリジナル部分だったりもするので少し複雑です。特に馬上槍試合は『リチャード3世』の反転とも言えそうな名場面と思うので。次回はさすがにティレルがちゃんと登場するのでしょうかね。

 

アニメ第17話  漫画12巻51話〜13巻57話

12巻51話狩りの計画について

12巻55話夢の結末について

13巻56話リチャードの戴冠について

13巻57話“ルシフェル”の登場について

(カット部分)

12巻52話取り替え子をめぐる諍いについて

12巻53話狂乱の森での愛と陰謀について

12巻54話ヘンリーの夢について

リッチモンド石田彰さん、登場時はなんだか声も斎賀みつきさんと似ている気がして、おおーと思いました。今回もかなり早い展開というかカット多めでした。……ティレルは出てくるのは出てきたんですが、“このシーンなの??”だったので、おそらく14巻でのシーンに焦点を当ててくるんでしょうね。今回も顔が隠れていて、緑川光さんがまた見事に雰囲気の違う声なので、アニメが初見の方にどう伝わっているのかなと思います。狩の話が大幅カットなのは仕方がないのかもしれません。12巻の狩の話は『夏の夜の夢』『タイタス・アンドロニカス』という対照的な作品フィーチャーで面白いので、よろしければ漫画読後にカット部分の記事などもめぐって、ごゆっくりお過ごし下さいませ(☕️お茶など出す仕草)。シェイクスピア作品、色々入っていると思います。

薔薇王の葬列』とシェイクスピア作品対応一覧(妄想含)

 

アニメ第18話  漫画13巻58話〜13巻57話

13巻58話リチャードの楽園について

13巻59話仮装したリチャードとバッキンガムについて

13巻60話「誓約」の転回について

カットは少なめながら、アニメだけ見ている方には特にリッチモンドが舞踏会に行く箇所とかバッキンガムの登場箇所とかストーリーがわかりにくくないだろうかと少し心配。第1部に比べてどうしても端折られる分、リチャードとバッキンガムの心情的な紆余曲折も見えにくいかも……。と先に苦情っぽいことを書いてしまい、しかもリチャードとバッキンガム回のはずなんですが、はずなんですが、今回アニメを見て〈もしも俺が…リチャードではなかったら〉という台詞でティレルと対面していたのか、と遅まきに気づきました。台詞こそ少ないもののティレルとバッキンガムを対照させてうまく描いた気がします。仮装舞踏会のシーン、私はもう少し明るいイメージを持っていましたが、若干悪夢的な仕上がりでしたね。

 

アニメ第19話  漫画14巻61話〜14巻63話途中まで

少しだけ9巻での羊飼いの話が入っていますね。

9巻37話「誰とも似ていない」リチャードについて

14巻61話愛を求める“ヘンリー”について

14巻62話父と子について

14巻63話王子達をめぐる思惑について

フォレストとダウトン出てきました〜! なるほどティレルについては、ここで過去回を回収ですか。フォレストは飄々とした感じを想像していましたが、殺し請負い人っぽかったですね。ああ顔ないけど出てきただけでいいやと思ったら、顔がある箇所もありました!

原作での想像と少し違ったのは、バッキンガムとティレルについてもで、バッキンガムには怒りより煩悶を、バッキンガムにまとわりつくティレルにも得体の知れなさより愛を求める焦燥感を感じました。リッチモンドの役者ぶりは石田さんによって一層際立った気がします。アニメ視聴のみの方にはエドワード5世達がすごく気になる終わり方だろうと思います! 

 

アニメ第20話  漫画14巻63話〜15巻66話途中まで

14巻63話王子達をめぐる思惑について

14巻64話夢から醒める薬について

14巻65話愛と荊棘について

前回、てっきり63話全部で放映されなかった分はカットかと思ったら、63話が少し順序が逆になりリッチモンドのシーンが今回に入ってきました。石田さんのリッチモンドはぞくっとする怖さがあります。アニメのエドワード5世達は比較的健気でやはり『リチャード3世』の方に近い感じがしますね。65話の布が落ちて血塗れに見えるシークエンスがなかったのは私的には一寸残念でした。66話は多分途中までかなと思います。……あの、CMが面白かったです。

 

アニメ第21話  漫画15巻66話〜15巻69話途中まで

15巻66話リチャードの帰還について

15巻67話ヘンリーと“贄”について

15巻68話リチャードの迷いと選択について

今回はエリザベスとマーガレット・ボーフォートが舞台っぽくてよかったです。マーガレット・ボーフォートは多分今回だけの登場なのに存在感がありますね。でも最後のキャスト表に出てきていない気が……? 王子達の場面は、漫画版のすごい構成がちゃんとそのまま残される形になっていました。残念だったのはリチャードがりんごを落とした箇所で、ここは私的には拾って欲しかったな、と。私の勝手な思い入れかもしれませんが。

 

アニメ第22話  漫画15巻69話〜16巻71話

15巻69話森で待つバッキンガムについて

16巻70話熱を奪う雨について

16巻71話バッキンガムの望みについて

回数の制約もあるなか、今回はやはりじっくりめで無理がない進行で脚本には納得です。リチャードとバッキンガムの戦いのシーン、アニメになることで期待しすぎてしまったのか……ここはむしろ漫画の方が動きを感じました。クライマックス回にこんな感想で本当にごめんなさい。りんごはちゃんともう1回出てきて“早計だった”と思ったものの、リチャードが拾う流れではなかったですね。

牢に入ってからのバッキンガムの台詞は、『リチャード3世』の捻り方としてとても味わい深いところだと思います。その辺はリンクの感想記事(71話)の方で。

 

アニメ第23話  漫画16巻72話〜17巻71話

16巻72話冬の気配について

16巻73話アンの荊棘について

16巻74話2つの薔薇について

17巻75話リチャードの呪いについて

母セシリーの話は衝撃的で重いので(加えて原案の逆転だし)ボリュームがある気がするのですが、漫画原作でも意外に短かったのだと気づきました。75話の記事にも書いたように、セシリーの告白は、アンがリチャードに吐露した暗い感情と重なる気がしますし、アンもまた得られない愛という荊棘に苦しんでいたとリチャードが気づいたことが、セシリーを理解させる流れになっていると思います。それが23話にまとめられたと思いました。(ここからオタ的早口)更に、『リチャード3世』で女性達が自分の運命を嘆く4幕1場と4幕4場がまとめられることになり、小夜啼鳥(ナイチンゲール)→雲雀、そして雲雀のソネットが掛かる話にまとまっていると思います。……でも4話入るとやはり厳しい感じはあって、リッチモンドの芝居場面は必要でも上陸場面や紋章の話は削って、こう、アンにもっと尺をと思ってしまう私でした。

 

アニメ第24話(最終話)  漫画17巻76話〜17巻78話

17巻76話“光”と“荊棘”について:リチャードとヘンリー

17巻77話ケイツビーの願いについて

17巻最終話(78話)王冠と愛について

第2部でティレルの描写が少なかったのを逆手に取ったかのように76話がじっくり描かれ、一気にリチャードとヘンリーに焦点が当たって、初回との対比で物語がまとまった最終回という印象でした。

カットされてしまったベスのエピソードなんですが、ここ、悪夢を見たリッチモンドの方も「愛する者などいやしない」じゃなくてベスが「愛してみせる」と言ったことになるな、と最終話から振り返ると思いました。(アニメの方でなくて、カット部分の漫画の話でごめんなさい。尺の関係とは納得しつつ、ここ好きなんですよ。カットするなら23、24話はベスの話は出さず兵力の話だけにしても行けたのでは、と思ってしまいました。)

baraoushakes.hatenablog.com

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関連記事など

コミックナタリーでアニメに関する記事が出たのでリンクします。2つめは菅野先生と斎賀みつきさんの対談になっています。

natalie.mu

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こちらもリンクしました。「第1クール総括キャスト座談会」


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